5年目にしてようやく学ぶということが分かった

高専に入学してもう5年目に突入していることに恐怖を覚える。ひえっ。卒研室に配属され卒研を少しずつ始めているが、それについては暗中模索でやって行くしかないのはわかっているし、楽しそうな研究テーマなので頑張ろうと思う。

俺が怖いのは卒研ではない(後期にはこんなこと言えなくなる)。

 

今までの4年間…

 

 

俺は何を学んだ???

 

 

もちろん科目名を忘れたとかそんな話ではない。言えるぞちゃんと。有機化学、物理化学、微生物学環境学、分析化学、生化学、生理学、遺伝子工学、生物工学etc...

 

そういうことではなくてだ。これらの科目を、俺は"本当の意味で"学んできたのかという話だ。

確かに知識は学んできた。アミノ酸や細胞小器官、二重らせんにTCA、IUPAC。多くのことを学んできたのは間違いない。

 

しかし、この知識たちは上辺だけちょろっと撫でた程度のものだった。氷山の一角を上から眺めて「小さい氷だな」とぼーっと見ていただけなのだ。もちろんその下にはとてつもない量の知識が眠っていて、それを含めて本当に理解したということになる。

 

こんなことが高専5年目まで気づけなかった。授業を聞いて分かっている気になっていた。そんなわけがない。授業だけで完全に理解することは難しい。教える側は90分×15又は30回でその科目を教えなければならないので、端的に上辺だけ、まさに氷山の一角だけを教える。海の下にあるどでかい氷塊は自分で覗かないといけない。

 

俺は正直、物理がまるで分からない。担当教員には申し訳ないし反省しかないのだが、多分中学校時代レベルの物理も理解してない。これでここまで進んできたことも恐ろしい。

しかし、生物について、化学について理解するにはまず物理が分かっていなければ駄目なのだ。なぜ共有結合は強いのか、電子の存在確率について、分子の運動、酵素の働き…

とにかくあらゆる現象は全て物理学の理解がなければ説明しようがない。もちろん数学も。

このことも、考えれば当たり前だが今まで気づかなかった。

 

生物が有する数えきれない素晴らしい機能についても、本当の意味では何も分かってない。TCAサイクルがATPを大量に生み出すことは知っているし、そこでどんな物質に変化していくのかも学んだ。しかしTCAサイクルが実際どのように行われるのかは分からない。

 

・物質はどんな酵素によって、何を得て何を捨て、次の物質になるか。

・どうしてその物質にならなければいけないのか。

酵素はどんな形をしていて、どのように物質に働きかけるのか。

 

他にも知るべきことはあるし、前後の過程も重要だ。そこまで理解して初めて「TCAサイクルについて分かった」という状態になれる。

 

俺はこういう理解をおざなりにしてきた。その結果、自分が何を学んできたのか分からない状態であることに気づかなかった。何が分かっていて、何が分かってなくて、何を知らないのか。それが分かっていない。

こうなるともう今までの勉強ってなんだったのかとか考えちゃってだめ。自分を知らないって怖い。

 

というわけで1から学び直しをしている訳だが、1,2,3,4年生はこのことを知ってればまだ十分間に合う(5年はしらん)。俺は生物の学生だが、他学科の学生もきっと同じだと思う。

 

5年間を実りのあるものにしてほしい。

 

追記

 

1,2年生は広く浅くでいいと思うよ。

最初から深く掘り下げようとしても難しいはずだから、まずは知ってることを増やしてあとから整理して理解すれば問題ないはず。

 

特にどの科目でも教員という存在ををフルに活用して。高一の年齢で博士が近くにいる環境ってすごく貴重だから。分からんところは聞きに行こう。喜んで教えてくれるはずです。

 

それでは。