言葉と行事とジェームズ=ランゲ説
11/26(執筆日)はブラックフライデー。アマゾンなんかがセールをする日ですね。もともと、11月第4木曜日である感謝祭(収穫を祝うアメリカなんかの祝日。木、金、土日と連休になるのだそう。羨ましい)用のプレゼントやらなにやらを捌く目的で、小売店が大安売りをすることから「黒字の金曜日」となったそうです。
俺はお店を持っていないので大安売りはできません。せっかくのブラックフライデーなのに…。でも昨日は感謝祭。つまり感謝する日ってことです。感謝なら俺でもできる。
というわけで、母に「いつもありがとう」とLINEで送ってみました。
母「送る相手間違ってない?」
間違ってないです。母さん。僕はあなたに感謝しているのですから。
経緯を説明して、改めてありがとうと伝える。母もいまいちピンとこないながら、ありがとうと返してくれる。そんなやり取りだけで、うれしくなって体がぽかぽかと温かくなる。これはきっと心が温かくなったからなんだな。
何をしたわけでもないけれど、お互いの存在そのものに感謝しあえる。自分にとってそんな人がいることが、どれだけ大切なことなのか。改めて実感した気がして、幸せってこういうことだよな…って。
──悲しいから泣くのでなく、泣くから悲しくなる──
ジェームズ=ランゲ説という、もうずいぶんと有名な話。なるほどなって思いました。確かに俺は普段から母に対して感謝している。これは間違いない。でもそれを言葉にして伝えてみる。そうしてやっと「ああ、俺は本当に母に対して感謝の気持ちを抱いていたんだ」そういう思いがふつふつと湧き上がってくる。
普段、こんな赤裸々な言葉はまず伝えませんよね。
「思っていても、言わない」
「伝えたいけど、恥ずかしい」
「黙っていても、伝わっているはず」
そう思って言葉は口から零れ出ることなく、逆流して心の中に戻っていく。そういうものです。きっと。赤裸々な言葉を伝えるのは、思っている以上にハードルが高い。勇気がいる。あと一歩が踏み出せない。何かきっかけがありさえすれば、言えるはずなのに……。
そんなときに背中を押してくれるきっかけの一つとなるのが、行事なんですね。
例えば、元旦なら「一年の計は元旦にあり」なんて言って、土台無理な素晴らしいスケジュールを組ませてくれる。バレンタインデーには心の奥に隠している大事な気持ちを、チョコレートに溶かして渡せる。
そんなちょっと特別な日も、何気なくスルーしてしまう今日この頃。
「ああ、そんな日だっけな。私には関係ないけど…」
別に、特別なことはしなくてもいいのかもしれません。それでも、せっかくだったらその行事にちなんだ言葉を誰かに伝えてみる。特別な日なんだし。
言葉にして改めて気づかされる、知っている、理解している、感じているつもりの感情。普段は伝えないからこそ、行事を上手く言い訳にして、伝えられなかった思いを言葉にしてみてはいかがでしょうか。
読んでくれて、どうもありがとうございます。
──感謝祭はとっくに過ぎてるけども…まあ、いいか。