ゆでたまご

最近、一人暮らしなので料理を作るのが大変。

 

ということでカレールー1箱を使って毎日カレーを食べる生活を続けていました。最初はなんか、薄いなというかもうちょっと美味しいカレー食べたいなという感じでしたが、3回目ともなると少し勝手がわかってきまして、結構美味しく作れるようになりました。多分ニンニクとチーズのおかげだと思います。

 

ただやはり、じゃがいも、人参、玉ねぎに何かしらの肉だけを毎日食べるのは栄養の偏りが生まれるだろうと思います。

 

そこで、いい感じに栄養になりそうなものをぶち込んでカレーにすればいいのではないかと閃きました。

 

さてどんなものを入れようかとネットで情報収集していると、気になることが。

 

カレーは毎日食べると「臭う」らしいのです。

 

それは困ります。私は臭わない人間として今までやってきていたので、急に臭う人間になるわけには行きません。このままだと私は臭う人間になってしまう。どうしましょう。どうやらカレーを食べて臭うのは、スパイスのせいだということ。

 

つまり、スパイスが含まれなければ良いのです。

 

シチューの出番だ!と思いました。シチューならばカレーと同じようなものです。いい感じの野菜と肉を買ってきて煮込みシチューを作ります。

 

今回は人参、パプリカ、ピーマン、長ネギ、白菜、玉ねぎ、マイタケ、豆腐を入れてみました。栄養満点ですね。じゃがいもを入れなかったのでかなりシャバシャバしているシチューになってしまいましたが、それでも味が良ければ全て良し。きっとあれだけ具材を入れたのだからさぞ美味しくなっているだろうと思いました。

 

微妙でした。

 

なんか薄いのです。シチューは味付け濃いめで作るべきです。ちなみに、4日目ともなるとかなりトロトロになってきて味も凝縮され、旨みも出ているようで問題なく食べられています。しかし、薄いと感じるうちはちょっと食べるのもしんどくなったりします。何か別のものを食べたい。少しでいいから味変でも。なんならこのシチュー全部いらないと思うほどまで来ていました。困りましたね。なぜならシチューは見ただけでもあと3日分は残っています。どうしたもんかと思っていた時ふと、あるものの存在を思い出しました。

 

ゆで卵です。

 

ゆで卵を私は数日前に作っていたのでした。

 

それは作り置きのカレーもなくなり、やることに追われ何かを作るという気力も何もかもを失っていた時のことです。

 

時計は午後3時を告げ、それでも私はその日、水以外のものを摂取していなかったのです。

 

何か、何か食べなければ動けなくなる。そんな予感に台所に這ってむかう私でしたが、残念なことに冷蔵庫にはめぼしい食材は残っておらず、カレーを作ることすらできません。

 

家にはインスタントラーメンも、お菓子も、ジュースも、何もありませんでした。このままではまずい。何か食べなければ。

 

そして私の目は、未開封の卵パックをとらえました。

 

それまでの間ずっとカレーばかり食べていたので、卵を調理することがなかったのです。しかし、卵焼きも目玉焼きも作りたくない。洗い物なんてしたくない。やはり生でいくしか。

 

しかし、卵というのは命。命の食物です。私の命は卵によって繋がりました。

 

ゆで卵。

 

熱湯があれば作れる簡単な料理。さらに作ればしばらく保存ができる料理。

 

私は鍋に水を入れていました。15分後にはゆで卵が目の前で冷水に打たれていました。殻を向いて頬張ります。私の中の何かが、「命!」と叫びポーズをとったのが分かりました。なぜだか涙がこぼれそうになり、私は命の力を感じていました。

 

そうして私の命を救ったゆで卵はまたしても、シチューの味に飽きた私を救ってくれています。ゆで卵がひとつ乗っているだけで、まるで別の料理を食べているようです。ちゃんと味がする。それが嬉しかったのです。

 

あの時作ったゆで卵は、あと3個となってしまいました。もうすぐ無くなります。ですが、私はこれからも、ゆで卵を作り続けることでしょう。

 

また卵を買ってこなくてはいけませんね。

 

これから世話になります、ゆで卵さん。